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<Black Asteroid来日直前インタビュー>エレクトロニックミュージックのエネルギーや生楽器への愛を再確認したい

ポストパンクやインダストリアルロックの持つ鋭さやダークネスをエレクトロニックミュージックに落とし込みながら、アッパーなダンストラックからダウンテンポまで自在に駆けめぐる。NYよりBlack Asteroidの来日が決定。バンド、Haloblackから始まり、Priceとのスタジオワークに勤しんだミネアポリス時代からロンドンへ。テクノに接近したMotorを結成、Depech Modeとのツアーも経験する。Motorの楽曲はのちにRaf SimonsやRick Owensのランウェイで使用され、ソロプロジェクトBlack  Asteroid始動後はテクノ/クラブシーンでその実力が大きく評価された。そして現在はエレクトロクラッシュの再燃などにも目を向け、その音楽性の幅を拡張。進化を止めないベテランに過去〜現在の状況、来日の意気込みなどについて話を聞いた。

通訳・インタビュー:BLUEMEW
編集・インタビュー:TAISHI IWAMI

今はニューヨークのブルックリンに住んでいます。朝起きたら頭をスッキリさせるためにコーヒーを淹れて飲み、散歩に出かけ、日中はスタジオに入って作業をしていることが多いです。今はBlack Asteroidのニューアルバムを制作中で、ほかにもサウンドトラックの制作やアートプロジェクトなど、並行していくつかの仕事に取り組んでいます。

はい。毎年のように来ています。その理由の一つは京都でハイキングをすること。森林浴は私にとって、インスピレーションと幸福感を得られる最高の方法なんです。

Haloblackは主にUKのインディー/オルタナティブロックやアシッドハウスに刺激されて始めたバンドで、中でもDepeche Modeからは大きな影響を受けました。アメリカだとNine Inch Nailsや、私たちと同じミネアポリスのPrinceらも、曲作りの参考にしていました。スタイルとしてはインダストリアルロックと呼ばれるようなものですね。そこから現在のソロ活動も含めて、私のキャリアはエレクトロやテクノへと進んでいくわけですが、すべてのインダストリアルロックの要素はつねに採り入れていています。

Haloblackを始めた頃に、Princeが彼の自宅兼スタジオのペイズリーパークで開いていたパーティに出演したことがきっかけで、彼の仕事を手伝うようになりました。オファーをくれたのは本人ではなく、当日も話すことはなかったのですが、私たちのライブを観てくれていたようで、後日キーボードテクニシャンとして働いてくれないかと連絡があったんです。壊れたキーボードやサンプラーの修理、スタジオレコーディングでの作業を通して、そしてPrinceの演奏を楽しむことで、私の音楽制作や仕事に対する姿勢の土台ができたように思います。

◆ロンドンに移住後結成したMotorの躍進

ロンドンに渡ったのは2000年頃で、アートスクールを卒業してグラフィックデザイナーとして働きながら、3Dや映像制作についても学ぼうとしていました。

当時、Apex TwinやAutechre、Trickyといった多くのUKのバンド/アーティストの大ファンでもあったことから、本場でその空気を感じながらエレクトロニックミュージックを作ることにも挑戦していました。その後、エレクトロ・クラッシュやポップミュージックをプロデュースしようと決意したことが、最終的にMOTOR名義のハードエレクトロへと繋がった、という流れですね。最初のEPはNovamute、アルバムはMUTE recordsと契約しました。

Depeche ModeのMartin Goreが私たちの曲を気に入ってくれていると知り、彼に手紙を書いてMOTORが彼らのサポートアクトを務めることを提案しました。そして2009年の夏に、Depeche Modeのヨーロッパツアーに参加することができたんです。MartinとはMotorのアルバム『Man Made Machine』のタイトル曲もともに制作することができて、あらゆることがほんとうに素晴らしい経験でした。

Raf Simondsは、彼が自身のランウェイショーでMotorの「Sweetbox」を使用したことがきっかけで知り合いました。初めて直接会ったのはベルギーのアントワープ。とても物腰の柔らかい親切な人で、彼がデザインしてくれたMotorのTシャツはDepeche Modeとのツアーで販売しました。Rick OwensもMotorの「Ice」をランウェイショーで使用していたことがきっかけで仲良くなり、意気投合した私たちはすぐにコラボレーションも始め、いろんなことをしましたね。彼の妻であるMichele Lamyとは何度かレコーディングを行い、Rick Owensのイベントでも演奏しました。RickはBlack Asteroidのアートワークも手掛けています。

一言で言えば切っても切れない関係ですね。私はKissやFront 242といったバンドを聴いて育ちましたが、彼らのパフォーマンスは衣装によってその世界観が完成します。また衣装にはサウンドを引き立たせ、さらに進化させていく力もあると思います。Princeの映画『Purple Rain』では彼の衣装やパフォーマンスに深く心を奪われました。この映画を観たことで私はバンドをやりたいと思ったんです。Nine Inch NailsやMeat Beat Manifestといったインダストリアルバンドからは、サウンドだけでなくファッションにおいても影響を受けましたし、SF小説や映画の世界観もビジュアル面でのインスピレーションになっています。『Blade Runner』や『Alien』、William Gibsonの作品などが好きです。

◆テクノやインディー、エレクトロクラッシュなどをミックスしたスタイルへの興味

はい。私はすべてのプロジェクトにおいて、バンド時代から積み重ねてきたインダストリアルサウンドを重視しています。それは、アーティストとして初めて意識したジャンルであり、これからも私の表現の一部であり続けるでしょう。テクノに関しては、ボーカルやギターなどを使って、それを少し危険なものにすることが目標であり、使命だとも思っています。

MOTORやほかのバンドでの10年以上に渡る活動を経て、ソロとして自分のサウンドとビジョンに集中する時が来たと思いました。バンドは私にとって妥協が多すぎたんです。だから、MOTORとして4枚目のアルバムを完成させたあと活動を休止し、ソロプロジェクトに取り組みました。それ以来、過去を振り返ることはありません。人生で最高の時間を過ごし続けているような感覚ですね。

ありがとう!以前は多くのテクノがそうであるように、ミニマリストだったところから、マキシマム的なアプローチに変えたことが、このアルバムのもっとも大きな特徴だと思います。特に「Dirge Out」がわかりやすいと思うのですが、より大胆なプロダクションにチャレンジし、おそれることなくレイヤーを重ねていきました。DJセットでも近年は特に、ミニマルなテクノだけでなく色鮮やかなエレクトロクラッシュの曲をより多くプレイしています。ここ数年間はFelix Da Housecatとエレクトロクラッシュのレコードを制作していて、そろそろ自分の音楽に色彩とメロディーを取り戻す時がきたような感覚ですね。

LAでのウェアハウスパーティのあと、私たちはFelixのスタジオにいました。Angelaは彼女たちはハードでダークな曲が好きだったので、それがあなたが言ったようなスタイルの「BDSM」に繋がり、この経験が自分のキャリアの中で新しいタイプの音楽をもっと作ろうという意欲に繋がりました。これから自分がどんな曲を作るのか、楽しみです。

DJとしてさまざまな国に連れて行ってもらいましたが、日本はもっとも好きな国の一つです。日本のクラブのおもてなしと熱意も素晴らしい。今回、私があなたたちSUPERFUZZにアプローチしたのは、あなたたちがSextileを招聘した公演の様子をSNSで知り興味が沸いたから。Sextileはエレクトロニックミュージックのエネルギー、ボーカル、そして生楽器への愛を再確認したいと思っている私の今のモードにぴったりハマるバンドです。テクノやインディー、エレクトロクラッシュなどをミックスしたパーティにとても興味があって、そういった音楽の流れる、今までで出演してきたパーティとはまた異なるフロアでプレイをすることにワクワクしています。会場で会いましょう。


DUST vol.0 -Black Asteroid in Tokyo-

日程:2025年7月11日金曜日
会場:CIRCUS Tokyo
オープン/クローズ:22時30分/5時
チケット:前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000

-Mars Floor-
Black Asteroid / MAYUDEPTH / SEKITOVA / Merco (Ben) / TAISHI IWAMI / BLUEMEW

-Spiders Floor-
BU$$IN / Elena Midori / EPHEMER / HINOTO / KEIGO / MASATO(DAYS) / Sho Asakawa / soguiii®

-Styling Booth-
A Night On The Floor

-Organized by-
SUPERFUZZ / BLUEMEW

Techno, Bass, Disco, Indie Dance, Punk from past to future

◆前売りチケット
Zaiko
https://superfuzz2019.zaiko.io/e/dustvol0tokyo
Resident Adviser
https://ja.ra.co/events/2194309

◆問い合わせ先
https://superfuzz2019.com